「ファクトフルネス」から学ぶ、ドラマチックな世界との付き合い方
- 広 天田
- 7 日前
- 読了時間: 3分
最近読んで心を打たれた一冊『ファクトフルネス(Factfulness)』についてお話ししたいと思います。
この本は、スウェーデンの医師であり統計学者のハンス・ロスリングさんが、生涯をかけて伝えたかった「世界を正しく見る方法」について書かれたものです。
私たちは、つい「ドラマ」で世界を見てしまう
私たち人間には、「ドラマチック本能」があると言われています。
つまり、問題や事件が起こると、「世界は悪くなっている」と感じたり、ニュースで報じられる一部を「世界の全体」として捉えたりしてしまうのです。
でも本当にそうでしょうか?
『ファクトフルネス』には、ある有名なクイズがあります。
「世界で極度の貧困状態にある人の割合は、この20年間でどう変わったでしょうか?」
A. 倍になった B. あまり変わっていない C. 半分になった
あなたはどう答えますか?
実は正解はC:半分になったなのです。
この事実を知って、私は正直ショックを受けました。
なぜなら、自分の中で「世界はどんどん悪くなっている」という思い込みがあったからです。
「分断」や「ネガティブ」は、本能的に信じてしまう
本書では、「分断本能」や「ネガティブ本能」についても語られています。
例えば、「先進国 vs 発展途上国」といった二項対立で物事を見がちですが、現実にはその間にさまざまなグラデーション(中間層)が存在しています。
つまり、「AかBか」ではなく、「AからBまで連続している」のが現実なのです。
また、私たちはネガティブなニュースに目を奪われやすい傾向があります。
悪いニュースほど耳に入りやすいので、世界全体が「危険で不安定」に見えてしまう。
でも本当は、静かに良くなっていることもたくさんあるのです。
「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」
この言葉、痛烈ですが本質を突いています。
データや数字は中立なはずですが、それをどう切り取るか、どう見せるかによって、まったく違う印象を与えることもあります。
だからこそ大切なのは、「感情」や「直感」ではなく、「データ」を通して物事を判断する習慣。
自分の思い込みに気づき、常に「本当にそうだろうか?」と問いかける視点を持つことです。
介護の現場にもファクトフルネスを
福祉の現場でも、ついネガティブな話や大変さばかりが語られがちです。
けれど、たくさんの笑顔や、小さな幸せが日々積み重なっているのもまた事実。
「大変なこと=すべて」ではなく、「丁寧に積み上げている日常」に目を向ける視点が、きっとこれからの介護をもっと希望あるものにしていくと思います。
私もまだまだ、本能に流されてしまう一人です。
だからこそ、意識して「事実に目を向ける力」を磨いていきたいと思っています。
気になった方は、ぜひ一度『ファクトフルネス』を手に取ってみてくださいね。

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