深谷で立ち止まって考えたこと
- 広 天田

- 12月13日
- 読了時間: 3分
― 論語と算盤という言葉に触れて ―
道の駅おかべで、深谷ネギのお祭りが行われていました。家族と立ち寄った、ほんの短い時間です。
賑わう会場の中で、ふと知ったのが、ここ深谷が 渋沢栄一の故郷 だということでした。名前は知っている。言葉も聞いたことがある。
それでも、「この土地で生まれた人なのか」と思った瞬間、胸の奥がざわっとしました。そのまま、深谷市渋沢栄一記念館 に足を運びました。
目をそらさせなかった言葉
記念館の周辺で、渋沢栄一の言葉が書かれたタオルが目に入りました。そこには、こう記されていました。
「常識とは、智、情、意、の三つがそれぞれバランスを保って成長したものであって、智、情、意あるものが、情や意を身につけ、情、意あるものが、智を身につけて、この三つをそなえた者が完全な人である」
そして、もう一枚には、
「士魂商才とは、武士の精神と商人の才覚をあわせ持つこと」
とありました。
きれいに飾られた名言ではありません。むしろ、不器用なほどまっすぐな言葉です。だからこそ、目をそらせなかったのだと思います。
これは「立派な人」の話ではない
この言葉を読んで、「自分はできているか」と問われた気はしませんでした。
むしろ、「それでも向き合い続けているか」そう問われている気がしました。
冷静に考えなければならない現実がある。誰かの想いを無視したくない気持ちもある。それでも、決めて進まなければならない場面がある。
智・情・意は、どれか一つを選ぶものではなく、葛藤しながら抱え続けるものなのだと思います。
「士魂商才」は、覚悟を持つ人への言葉だ
「士魂商才とは、武士の精神と商人の才覚をあわせ持つこと」
この言葉は、甘さがありません。
志だけでは足りない。現実から逃げてもいけない。
どちらかに寄れば、もっと楽になるのに、それを許していない。この言葉は、「本気で社会と向き合うなら、逃げるな」そう言っているように感じました。
「論語と算盤」は、選択の積み重ねの話
論語と算盤。正しさと現実。
これは、どこか遠い世界の話ではなく、日々の選択の話だと思います。
・理想を語るだけで終わらせない
・効率だけで割り切らない
・続く形を、本気で考える
その積み重ねが、やがて仕事になり、事業になり、社会との関わり方になっていく。
自分が選んだ道
創業したミヤマリンクは、フィリピンの雇用機会をつくることと、日本の介護業界が抱える人材不足という社会課題に向き合うこと、この二つを、切り離さずに考えています。
どちらか一方だけなら、もっと簡単なやり方もあります。
けれど、人が働き、人が支え合い、その循環が続いていくためには、想いだけでも、効率だけでも足りない。
だから、社会課題の解決を「続く形」にするために、ビジネスという手段を選びました。
これは、簡単な道ではありません。時間もかかります。迷いもあります。それでも、このやり方でやり切ると決めています。
深谷で持ち帰ったのは、覚悟だった
深谷ネギ祭りをきっかけに訪れた深谷。そこで出会った渋沢栄一の言葉は、答えをくれたわけではありません。ただ、「それでも、その道を選ぶのか」そう問いかけてきました。
完璧である必要はない。でも、逃げずに向き合うことはできる。智・情・意を切り分けず、続く形を本気で探し続ける。
弊社は、その覚悟の上に立っている会社です。自分自身にも問い続けてアップデートしていきたく思います。

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