「平等」と「公平」という言葉は似ているようで違います。その意味を理解し、適切に使い分けることは、しばしば難しいものです。特に、多文化共生や共創を目指すには、これらの概念の捉え方が重要になってきます。今回は、違いについて、いかにして私たちの社会で機能するのかをまとめてみました。

平等 vs 公平
平等とは、すべての人々が同じ条件で扱われることを意味します。社会で何かを提供する際に、すべての人に同じものを等しく与えることが「平等」です。たとえば、教育や医療、福祉などで、全ての人に平等に機会が提供されることが理想的です。
一方、公平は、個々の状況に応じて適切に支援を行うことです。公平は、必ずしもすべての人に同じものを提供することではなく、それぞれのニーズに合わせた支援をすることです。例えば、障害を持つ人にはその特性に応じた支援が必要であり、それが公平といえます。
このように、平等は同じことをすべてに与えることを意味し、公平は個別の状況を考慮して支援を行うことを指します。多文化共生を目指す社会においては、平等と公平のバランスを取ることが不可欠です。
多文化共生と区別
多文化共生を目指す社会において、「区別」という言葉も重要な役割を果たします。しかし、区別と差別は全く異なる概念です。区別は、違いを認め、それぞれの文化や背景に応じて、適切な支援や配慮を行うことです。一方、差別は、差異を理由に不平等な扱いをすることです。
多文化共生社会を築くためには、文化や価値観、生活環境の違いを理解し、尊重することが大切です。その上で、個々の文化に合った方法で支援をすることが求められます。これを実現するためには、違いを「区別」し、その違いを尊重した対応をすることが必要です。
たとえば、障害者支援においては、障害の有無にかかわらず、すべての人に等しいアクセスを提供するのは平等ですが、障害を持つ人々には、異なる支援が必要であるため、支援の方法を区別することが公平な対応となります。
共創の重要性
公平と平等、そして区別を理解した上で重要なのが「共創」の概念です。共創とは、異なる背景や価値観を持った人々が協力し合い、共に成し遂げていくことを意味します。多文化共生においては、異なる文化を持つ人々がそれぞれの視点を持ち寄り、共に価値を生み出すことが求められます。
例えば、外国人労働者が多く働く施設では、その文化的背景を理解し、働きやすい環境を整えることが重要です。そのためには、公平な支援が必要であり、個々のニーズを満たすために区別をすることが大切です。その結果、全ての人々がより良い環境で働き、共に成長していくことが可能になります。
公平、平等、そして区別は、それぞれが異なる役割を持ちながら、共に調和を生み出します。特に多文化共生社会においては、これらの概念を理解し、適切に活用することが重要です。私たちが目指すべき社会は、すべての人が自分らしく生きられる社会であり、そのためにはお互いの違いを認め合い、共に尊重し合うことが不可欠です。
未来の社会がより豊かで、調和の取れたものとなるために、私たち一人ひとりがどのように「公平」と「平等」を使い分け、共創を目指していくかが問われていると思います。
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