これから特養に入所される方にとって、世帯分離は金銭的な負担を減らすためにとても有効的な方法です。毎月の自己負担額をすこしでも減らしたいなら、世帯分離をするだけですぐに費用負担が減っていると実感できるかもしれません。
ここでは、世帯分離のメリットを費用負担という点に着目してご紹介します。すこしでも特養の金銭的な負担を減らしたいとお考えでしたら、これからご紹介する内容をぜひ参考にしてみてください。
1.所得税
高齢の親と同居している方の場合、世帯を一緒にしているとより収入額の高い方の所得で計算されてしまうため、所得税が高くなってしまいます。所得税が高くなると支払う税額が高くなってしまうので、金銭的な負担が大きくなってしまうのです。
ですが、世帯分離によって世帯の収入額が減ると、それに応じて所得税が減るので、介護を受ける親の支払い税額も減ります。今まで高齢の親を扶養していたという方は老人扶養控除が受けられなくなるので負担は増えるかもしれませんが、高齢の両親側の負担は減るのです。
収入が公的年金だけになった場合、65歳に満たない方は受給額が108万円以下、65歳以上の方は受給額が158万円以下の場合、所得税を払う必要がありません。
課税対象となる所得は、年金受給額から基礎控除と公的年金等控除を差し引いた金額で計算されます。しかし、年齢に応じて設定されている受給額を下回った場合、課税対象となる所得が0円になるので支払いが発生しません。
世帯分離によって、それまで高齢の親を扶養していた方にとってはデメリットとなる部分もありますが、所得税の点で考えるとお得になります。
2.特養(特別養護老人ホーム)の自己負担額
公的介護保険の利用による自己負担の合計額が1ヵ月あたりの上限額を超えた場合、市区町村に申請すれば、費用の一部が払い戻される高額介護サービス費支給制度が利用しやすくなるので、介護費用の自己負担額が減ります。
また、特養に入所される場合は介護保険を適用して費用の負担を軽減するのが一般的ですが、介護保険の自己負担額は所得金額によって異なります。
3.国民健康保険料の負担額
国民健康保険料の負担額は、前年の所得の合計額によって異なります。
前年度の合計所得額が高いほど国民健康保険料の負担額も大きくなるという仕組みなので、収入が年金収入のみの高齢者が収入の多い方と世帯を一緒にしていた場合、国民健康保険料の負担額が増える可能性があります。
ですが、世帯分離は所得税と同様に世帯収入をわけるので、結果的に世帯の総収入が減り、国民健康保険料の負担額が減るのです。
高齢になり身体機能や認知機能が低下すると、働いてお金を稼げなくなったり、働ける場所がほとんどなくなったりするので収入が年金収入のみとなる場合が多いです。自立した生活が難しくなって特養に入所した場合、ほかの老人ホームに比べて費用は安いとしても、毎月数万円程度の自己負担額が発生します。
特養に入所してから支払いができなくなってトラブルの原因にならないように、世帯分離によって国民健康保険料の減額を検討してみてもよいでしょう。
4.公的施設の負担額
世帯収入によって、公的施設での自己負担額を軽減できる介護保険負担限度額認定制度を利用できる可能性があります。一般的な介護保険サービスの自己負担額は1~3割程度ですが、介護保険負担限度額認定制度によって自己負担総額を減らせる可能性があります。
介護保険負担限度額認定制度には4段階の世帯収入の条件が設定されています。特養に入所した際のそれぞれの条件を表にまとめて解説します。なお、食費カッコ内はショートステイの金額となります。
5.後期高齢者医療制度の保険料
後期高齢者医療制度とは、75歳以上のすべての高齢者および前期高齢者にあたる65〜74歳のうち一定の障害があると認定された方が加入する医療保険制度です。それまで適用されていた老人保健制度に代わり、2008年(平成20年)4月から施行が開始された制度です。
75歳を超えた時点で後期高齢者医療制度の保険対象者となり、新たに後期高齢者医療制度の保険証が交付されます。後期高齢者医療制度を適用すれば、医療機関での自己負担額を1割程度に抑えられますが、そのためには保険料を納付する必要があります。
ほかの税金制度と同様に、後期高齢者医療制度の保険料も世帯の合計所得額によって変動するので、世帯分離によって世帯の合計所得額が減ると保険料の負担額も減る可能性があるのです。
細かい点は、みのわの里三山の相談員か私までお問合せください◎
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