『関心領域』に見る“無関心の恐ろしさ”と、介護における「気づきの力」
- 広 天田
- 10 時間前
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※映画『関心領域(The Zone of Interest)』の内容に触れています。未鑑賞の方はご注意ください。
GW最終日に、Amazonプライムで映画鑑賞をしました。集団で仕事をする私たちにとって、とても重要な示唆がありましたので、少しだけお話しできたらと思います。
【映画の紹介】
『関心領域』は、アウシュビッツ強制収容所の隣に暮らしていたナチス将校一家の「何も変わらない穏やかな日常」を描いた作品です。
映画は、強制収容所の内部を直接描きません。かわりに、美しい庭、家族の団らん、優雅な日常が映し出される――その背景に、うっすらと聞こえてくる銃声、叫び声、焼却炉の音。
家族たちは、壁の向こうで起きている“現実”に目を向けません。むしろ見ないことで自分たちの平穏を守っている。
その姿勢が、静かに、しかし強烈に「無関心がもたらす危うさ」を観る者に突きつけてきます。
【介護の現場で思ったこと】
この映画を観ながら、私は「私たちはその逆を選んできた」と感じました。
介護の現場では、無関心ではいられません。
むしろ、日々の小さな変化や違和感に関心を持ち続けることが、命や尊厳を守る仕事です。
・食事のペースが少し遅い
・いつもより声が小さい
・言葉にできない不安を抱えていそう
そういった“声にならないサイン”に気づけるかどうかが、ケアの質を決めると、私たちは日々実感しています。
【反面教師としての学び】
『関心領域』は、決して介護映画ではありませんが、私たちにとっては「見ないふりをし続けることの危うさ」を教えてくれる、反面教師のような作品でした。
それを観たからこそ、私は改めて思いました。
私たちは「気づける人」でありたい。関心を持ち続ける組織でありたい。
現場スタッフの「なんかちょっと変だな」「気になったので報告しました」という一言が、ご本人の安全や安心につながることは、何度もありました。
これは、マニュアルではなく、「人を想う気持ち」と「気づきの文化」があるからこそ。
【最後に】
介護は、毎日が当たり前の繰り返しに見えるかもしれません。
でも、その“日常”の中にこそ、変化は潜んでいます。
映画『関心領域』に学びつつ、私たちは「関心を持つこと」をやめない。
それが、誰かの人生の支えになっていると信じて、これからも目の前の“いま”と“その人”を見つめていきます。

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